エストロゲンのお勉強14最終回(環境ホルモン)

いよいよエストロゲンのお勉強シリーズの最終回です。
内分泌かく乱物質は一般に環境ホルモンと呼ばれています。
人間の営みによって発生した環境中に存在する化学物質で、ヒトほ含む動物にホルモン作用を及ぼすもの、あるいは内因性ホルモンの作用を阻害することでその個体やその子孫に有害な影響をもたらす物質です。
環境ホルモンの中でもエストロゲン作用示すものが圧倒的に多いです。
エストロゲンは今までにも説明したように、生殖に直接関わるもので、その作用のわずかの乱れでも生体の機能を乱す恐れがあります。
動物では環境ホルモンの影響が研究により報告されていますが、寿命の長いヒトでは個体やその子孫に対する影響を追跡調査するのには、非常に長い時間が必要です。
そのため野生動物と違い、立証されている例がほとんどないのが現状です。
そのため、症例が報告されていても、明らかな因果関係が確認されないとして権力により隠蔽される恐れもあります。
治療のために使われる薬は、その薬が内分泌かく乱物質を含む場合、その個体に対しては治療効果として現れますが、その胎児や子孫には内分泌かく乱物質として悪い影響が出ることが考えられます。
有名なダイオキシン類は、多量に摂取すると強い毒物としてその個体に作用しますが、低い濃度ではその個体には作用しなくても内分泌かく乱物質として子孫に対しての影響が考えられます。
内分泌かく乱物質の汚染はなぜ怖いのか
ダイオキシン類など有機塩素化合物は、自然界で分解されるのに数百年もかかるものがあり、摂取した個体にとっては半永久的に影響されることになります。
またある種類は脂肪組織に溜まり排出されにくく、有効な対処法がありません。
健康への影響は
一つは子宮内でさらされた胎児がその後も影響をされ続けて生殖機能に障害をもたらすもの。
二つ目はさらされた個体そのものが、健康上の問題を生じるもの。
内分泌かく乱物質で特に問題なのは前者と言われています。
過去に妊婦に投与されたジエチルスチルべストール(DES)という合成エストロゲン製剤(1970年代使用禁止された)は、
女胎児に特に様々な異常や乳がんの発生リスクの増加など多大な損害を発生させました。
乳がんの発生は40代以降ですから、その影響を確認するのに半世紀が必要でした。
現在、ヒトへの内分泌かく乱物質として明白な有事例はDESしか知られていないそうです。
これから妊娠を考える方や妊娠中の方は、疑わしい物質にさらされることには気を付けた方が良いでしょう。
環境ホルモン(内分泌かく乱物質)から身を守るには
体内への侵入経路は、口、気道、皮膚です。
特殊な環境にいる場合は別として、主に食べ物に気を付ければよいだろうとされています。
特定の食品を毎日、多量に摂取するのは避けた方が良いということになります。
また体内での吸収を防止するために、食物繊維を含む野菜類を食べて便秘を防ぐことも考えられます。
参考文献:エストロゲンと女性のヘルスケア 武谷雄二著
SSKC不妊鍼灸HP
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