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「冷え症」と「冷え」と不妊症(その1)

2017年10月18日 | 不妊鍼灸

赤ちゃん抱いたお母さん絵

巷では、「冷え症は不妊の原因である。」という説が、
まことしやかにささやかれていますね。
ネットでも、多くのサイトで冷え症を治して不妊を解決!」的なことをうたい文句にして、
様々なサプリ、健康食品、薬、整体・光線・鍼灸などの宣伝を見ます。

さて、本当に冷え症は不妊の原因なのでしょうか?

こんな疑問は、誰でも感じているはずです。

そんな疑問に対す答えを探して色々なサイトや文献を探してみました。

先ず、「冷え症」「冷え」を区別する必要があります。

実は「冷え症」は西洋医学の医学用語には定義されていません。
ところが医師の書いたサイトでも「冷え性」でお困りの方に・・・。という文言を見ることはあり、
それが混乱を招いているのかも知れませんね。

「私は冷え症だ。」と訴える人でも、温泉に浸かっていれば、
身体は暖かさを感じる訳でその時の状態をいうものではないようです。

一般的な概念から考えると、四肢末端や身体に日常的に冷えた感覚を自覚しやすい病態(体質)。という位でしょう。

「冷え」はまさにその時に、身体が冷えた自覚であり、寒さに晒されることにより誰もが感じる感覚です。

更に言うなら、「冷やす」は身体を実際に低温環境に晒すという行動です。

ここで3つの疑問を私は持ちました。(あなたも持ってください(笑))

果たして「冷え症」が治ると不妊は解決するのか?
身体を冷やすと不妊になるのか?
逆に温めるという温熱刺激は不妊に対して効果があるのか?

前置きが長くなりましたが、
今回は①果たして「冷え症」が治ると不妊は解決するのか?について考えてみましょう。

「冷え症」を訴える方は実際に来院する患者さんの中にも多く見られます。
(冷え症でどんな時困りますか?)という問いかけに対して、
「足が冷えて夜も眠れない。」と入眠障害を訴えることが多いです。

出産経験のある無しに拘わらずみなさんの周囲の中年女性にもいるはずです。
国民生活基礎調査(平成25年)の結果では女性の32.6%手足が冷えることを訴えています。


一般に不妊とされる割合が約10%と言われるので、ここから分かるのは、
「冷え症」を訴える女性の多くは出産しているという事実です。

「冷え症」と「不妊」を関係つける説明では、
ア)冷え症の人は卵巣や子宮も冷えている。
イ)冷え症の人は卵巣や子宮の血流が悪い。

ア)につて
こんなバカな話はありません。哺乳類である人間は恒温動物と言われ、少しくらいの低温環境であれば身体の
中心体温
36~37度程度に保たれています。

四肢末端が冷えていても、身体の臓器は一定の温度に保たれているのが事実です。
一般の状況では卵巣や子宮は冷えているわけがありません。

お腹の中が冷えている(想像)から、お腹を温めるという短絡的な行為は、無意味という事です。

イ)について
これについては可能性が考えられます。

血管の収縮は自律神経によって調節されています。
大雑把には、
交感神経優位の時は、骨格筋に血流が増、皮膚や粘膜その他の器官の血流減となります。
副交感神経優位の時は、その逆と考えていいでしょう。

交感神経優位になりやすい、つまり神経質で緊張しやすい人は、その結果として手足の末端の血流が悪くなります。
「冷え症」の「症」は症状を表し原因を意味するものではありません。

交感神経が過緊張状態だと骨盤内蔵の血流も乏しくなるという説があります。
その意味では、「冷え症」になりやすい人は、
同じ症状として卵巣や子宮の血流が悪い可能性はあります。

この卵巣や子宮の血流改善は、SSKCの不妊鍼灸の効果の一つです。

患者さんから「冷え症」改善も報告されますが、自律神経の調整をするのですから当然です。
しかし不妊治療の目的ではありません。

「冷え症」そのものが不妊の原因ではないのです。

次回に続く・・・








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