生殖器が腸内細菌の影響を受けているという事実に関する研究者からの科学的報告が出ています。

※図は後述論文より(女性生殖菅と他の臓器・器官の関連)
妊活中の検査にTRIO検査(ERA/EMMA/ALICE)がることはよく知られています。
この中で子宮内の細菌叢の状況を調べるのが、EMMA/ALICEです。
この中で子宮内の細菌叢の状況を調べるのが、EMMA/ALICEです。
さらに、EMMAで調べる乳酸菌の一種のラクトバチルスが多い方が良い。なんて事も耳にしたことがあると思います。
体外受精で胚移植が上手くいかない方は、、これらの検査を受けようか迷ったり、受けた方も多いと思います。
実際にSSKC通院中の不妊患者さんの中で治療歴の長い方の中には、受けられた方が結構多いのが事実です。
ただし、検査を受けたことにより姙娠という目的に関して、恩恵を受けたと実感できる方は少ない印象です。
検査では問題が見つからなかった。
悪い細菌が見つかったので抗菌薬を使ったが、結果は大きく変わらなかった。 などです。
不妊専門クリニックのHPで検査を勧めている場合もあれば、その逆に
医師の中にもこれらの検査自体の有用性に否定的な先生も少なくありません。
検査の費用の高さや、検査結果と次の対策、その結果実際に妊娠に結びつく割合の低さを比較すると、
私もその意義は限定的にしかないと考えています。(もちろん有益な方もいます。)
検査については、今までのデータを見ながらしっかり相談にのっています。

※図は後述論文より (全身の他の臓器の疾患がその他に影響します)
さて、今日の本題です。
金沢での日本生殖医学会のシンポジウムで、日大医学部の髙田和秀先生の講演で興味深い発表がありました。
女性生殖器と他臓器の細菌や免疫の関連に関する内容です。
そこで、髙田先生の論文の中から少しだけ紹介します。
Female reproductive tract-organ axes Takada et al. Front.Immunol. 31 Jan 2023
女性の生殖器は体内の離れた器官と相互のやり取りをしています。
膣と接する腸や膀胱だけでなく、細菌環境に関して口腔の粘膜とも関連があるという事です。
膣・子宮・卵巣などもそれぞれ他臓器の細菌環境に影響を受けることが分かっています。
つまり、例えば口腔内粘膜の異常な機能不全は、全身性に影響を及ぼすという事です。
女性生殖器との関連で腸内細菌異常を治療するアプローチとして、
IgAでコーティングしたプロバイオティクスである可能性を示唆しています。
『私の感想』
一つの臓器・器官の細菌機能異常の影響が全身の多臓器に及ぶということは、いままでも何となく知っていましたが、
第一線の研究者からの信頼性のある情報は嬉しいですね。
先に出たラクトバチルスを例にとって言うと、
ラクトバチルスは子宮よりも膣に圧倒的に多いが、それが子宮にも影響していることが分かりました。
上行性なのか、免疫反応を介してなのか、おそらく両方なのでしょう。
免疫反応であるならば、経口摂取も効果あるということです。
更に局所的に環境をとらえるよりも、全身の細菌環境が重要であるとわかりました。
腸内環境が悪いと妊娠に影響する恐れが考えられます。食生活を見直しましょう。
鍼灸治療は、体調そのものを整え正常化する効果があります。
その意味では、不妊治療患者さんのパワーの底上げにも貢献できると考えられます。
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