エストロゲンのお勉強7(女性の健康)

エストロゲンは本来、子孫の繁栄を目指して作用しているホルモンです。
一方、子孫を確実に残すためには特に女性が心身ともに健康な状態を保っていることが前提となります。
エストロゲンが急激に低下すると
1.ホットフラッシュや発汗
血管の拡張収縮の調整が乱れたことによる血管運動神経の失調状態。最も早期に現れます。
2.膣や外陰部の萎縮、萎縮性膣炎
エストロゲンの低下した状態が数年続くと起こります。細菌が繁殖しやすくなり感染によりかゆみやおりものが見られます。
性欲には影響がないとされますが、外性器の萎縮による性行為の苦痛を感じることも少なくありません。
3.血圧の上昇、コレステロールの上昇(特にLDL)による動脈硬化
エストロゲン低下は循環器系疾患のリスクにはなりますが、他にもリスクが多く低エストロゲンだけで考えるものではありません。
4.骨粗鬆症
低エストロゲンの状態が10~20年続くと、骨のカルシウム、リンなどミネラル含有量が低下します。
女性の生殖可能年齢の妊娠可能な健康状態をエストロゲンが助けていると考えられるのです。
生殖可能年齢で、ある原因で閉経を迎えると生殖機能は失われますが、エストロゲンを補充することで健康を守ることは可能です。
女性が男性よりも長生きする理由は?
余談ですが、日本で平均寿命を調査し始めた明治21~30年には男性は42.8歳、女性は44.3歳でした。
2016年の日本人の平均寿命は、男性80.98歳、女性87.14歳と過去最高となりました。
昔から女性は男性よりも長生きでした。
アメリカの調査によれば、戦争などない平和な状況で、同じ衣食住の環境で生活しても女性の方が長生きと認められます。
生物学的な理由
生殖と子育て更にその文化技術の伝承という点から男女の役割や負担の違いを考えると合理的です。
生殖可能な年齢までは、医学の発達していない時代においても前述の説明のように、女性の健康は恵まれていました。
妊娠・出産そのものは、心肺機能をはじめ内臓にかなりの負担をかけます。
母体はそのストレス状況に耐えられる潜在能力を備えている必要があったのです。
40歳台前半で生殖可能年齢が終わりますが、その後も女性は相対的に男性よりも健康です。
生殖後の子育て時代。最近は育メンも現れましたが、女性が非常に活躍するのは周知の通りです。
閉経後も子育て時代を完了するまでの健康が必要とされます。
老年期はどうでしょう、自分の子育てが終わった後は、次の世代の子供の出産子育ての期間です。
おばあちゃんの知恵やお手伝いが大きな役割を果たしていることも多いのです。
女性の妊娠・出産・子育てという大事業において、その技術の補助・技術の継承という面を考えても
女性の役割の大きさは納得のいくものがあります。
参考文献:エストロゲンと女性のヘルスケア 武谷雄二著
女性の妊娠・出産・子育てという大事業において、その技術の補助・技術の継承という面を考えても
女性の役割の大きさは納得のいくものがあります。
参考文献:エストロゲンと女性のヘルスケア 武谷雄二著
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