エストロゲンのお勉強8(食欲とエストロゲン)

エストロゲンには食欲を抑える作用があり、動物ではエストロゲンの分泌が高まる発情期には食欲が落ちます
人間の女性でも排卵期にはカロリー摂取量が低下することが報告されています。
ラットやサルでは、卵巣摘出によるエストロゲンの欠乏状態では過食傾向が見られます。
閉経後エストロゲンの低下する50歳代の女性では、それ以前よりも肥満傾向が見られます。
閉経後の女性にエストロゲン補充を行うと、体重の増加は鈍化するという報告があります。
しかしその機序は、はっきりしていません。
作用の機序は複雑なようですが、エストロゲンは脳では、視床下部の摂食中枢や満腹中枢に作用し、
食欲の抑制に働ことにより摂食量が低下すると考えられています。
消化管では、小腸粘膜からコレシストキニンが分泌されますが、この作用をエストロゲンは増強します。
コレシストキニンは、迷走神経を介して満腹中枢を刺激することにより食欲を抑えます。
また、胃から分泌されるグレリンという食欲亢進作用のあるホルモンをエストロゲンは抑制します。
消化管では、小腸粘膜からコレシストキニンが分泌されますが、この作用をエストロゲンは増強します。
コレシストキニンは、迷走神経を介して満腹中枢を刺激することにより食欲を抑えます。
また、胃から分泌されるグレリンという食欲亢進作用のあるホルモンをエストロゲンは抑制します。
ところで食欲を調整する物質の多くは、生殖機能の調節因子でもあります。
このことから、摂食行動と生殖機能は密接に関連していると言えます。
味覚は子宮内のホルモン環境で決まる?
一般に女性の方が、男性よりも甘い食べ物を好む傾向があります。
これにも女性の性ホルモンが関与している報告あります。
また、脳は子宮内で男性ホルモンを多く浴びると男性型脳に分化します。逆に男性ホルモンを浴びないと女性型脳に分化します。
マウスの実験では、この女性型脳では、甘い物を好むようになるとされます。
面白いことに、
男性ホルモンの浴び方が比較的軽いオスは、十分に浴びたオスに比べて甘いものを好む傾向が確認されています。
最近の、私自身を含めてケーキなどの甘い物好きの男子の増加は、もしかしたらお母さんの子宮内での環境に影響を受けた結果かも知れませんね。
生後も性ホルモンにより好みの変化があります。月経周期により食べ物の好みの変化が報告されています。
エストロゲンの分泌の盛んな排卵前には、糖類を摂りたくなるそうです。
塩辛いものについても、エストロゲンの分泌の盛んな時期(月経から排卵)には比較的塩辛いスナックが好まれ、排卵後の黄体期には塩味を避ける傾向が報告されています。
一方男性には、このような好みの変化は見られないようです。
参考文献:エストロゲンと女性のヘルスケア 武谷雄二著
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