胚移植と培養液の話
2017年11月05日
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不妊鍼灸

ネットで培養液の種類で出生児の体重に影響というようなニュースが昨年出されました。
実際に培養液の種類は何種類かあり、それぞれ製造会社から開発され使用されています。
今日は、培養液について少し書きます。
体外受精(IVF)では、卵子を女性体内から採卵して体外で受精させて、
受精卵を培養液で数日育てます。
育てるだけでなく、受精卵を子宮に移植するときにも培養液が使われます。
自然な妊娠では卵管内で卵子と精子が出会い受精が行われ、数日かけて子宮に運ばれて着床します。
体外授精では、卵管内と子宮内の環境に近づけることから培養液の開発が始まっています。
1985年、HTF(=初期胚培養液)が有名です。
さらに1998年、sequential media(=胚盤胞培養液)や
EmbryoGlue:通常の胚盤胞培養液にヒアルロン酸を大量に配合した物も登場しています。
ヒアルロン酸は着床を助けるという理由からの物です。
ごく最近ではGM-CSF含有培養液という物も登場しています。
サイトカイン(GM-CSF)という免疫系の伝達物質を含む培養液で、流産率が下がるとされます。
それぞれの細かい説明は長くなるし専門的ですので、興味のある方は調べてみてください。
それぞれの培養液の使用料金は、結構高価です。
GM-CSF含有培養液は、「患者さんの希望により」使用したりしなかったり。(約5万円かかりますからね。)
初期の卵管や子宮内の環境に似せる物から、栄養補給、着床補助と開発が進んできたわけです。
現段階でも完全に全ての医師が認める物は無いのが現状のようです。
無事の妊娠を希望する方が、不妊治療を受けるのですから、
「可能性の高まることなら何でもやりたい。」これが本心でしょうね。
しかし基本的に自費の大きい不妊治療では経済的負担もバカになりません。
そこで、葛藤が生じるのが現実です。
だから使用選択はケースバイケース。
結果もケースバイケースです。妊娠成立には、さまざまな因子が影響しているからです。
ご自分が、担当医師から新しい培養液の使用を提案された場合は、
ご自分の状況を考慮しながら、しっかりと説明を求めてください。
治療の主人公はあなた自身です。
もちろん私もあなたと一緒にじっくり考えます。
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