ビタミンDは着床や不育症、そして卵巣機能にも大切です

去る10月9日に私が所属しているJISRAM(日本生殖鍼灸標準化機関)のリモートセミナーがありました。
黒田恵司先生(杉山産婦人科丸の内院長、順天堂大学産婦人科非常勤講師)の講義を拝聴しました。
黒田先生は、不妊症・不育症研究のスペシャリストで、
個人的にも困った症例について相談をさせて頂いたことがあります。
非常に情報量の多い講義でしたので、今回はその中から、ビタミンDと不妊治療について紹介します。
妊活に取り組む女性・男性は数種類のサプリメントを服用していることが多いです。
SNSを始めとしたネット情報から、葉酸・ビタミンE・亜鉛などが、妊活に影響すると知識を得ているようです。
サプリメントの必要性については、医師ごとに賛否両論で意見が分かれており絶対という結論はないのが現状です。
研究がまだまだこれからという世界です。
黒田先生は臨床研究から何本もの論文を公開しており、ビタミンÐの必要性を説いています。
以下の情報は、医学研究によるものでエビデンスもしっかりあるものとして理解ください。
今までも血中ビタミンDが不足すると着床不全、不育症のリスクを高めることは説いておられていましたが、
今回更に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症症候群などの妊娠合併症のリスクを高めることを知りました。
また胎児の1型糖尿病・統合失調症・多発性硬化症などのやっかいな病気の発症のリスクも高めるということです。
それでは血中ビタミンÐ欠乏をどうやって調べればいいのでしょうか?
それは、いま受診している病院で、ビタミンDの血液検査を受けることで足りているのかどうかを知ることができます。
自費診療で5,000~10,000円位だと思います。
SSKCに通院中の患者さんでは、この血液検査を既に受けている方は非常に少ないのが現状で、他のサプリメントと同じように、
必要だと聞いたから念のため摂っている場合が多いです。
少しだけ専門的な話になりますが、
ビタミンDの中でも貯蔵型ビタミンDといわれる25OHという種類を調べることが大切です。
血中では 30ng/ml 以上を足りていると考えます。(これ以上あればサプリメントは不要です)
もし30ng/ml未満であるなら ビタミンDをサプリメントで摂ることをお勧めします。
では、どのくらい量が必要なのでしょうか?
まずは25㎍(1,000IU)という単位の量を基準に考えてください。
高度の欠乏症であるなら、それよりも大量に摂取することも考えなくてはなりません。
専門医に意見を求めるべきでしょうね。
ところで、大量に飲めばよいかというとそうでもありません。
当然ビタミンD過剰症(高カルシウム血症が起こり、食欲不振、体重減少、多尿、不整脈など)ということもあるわけです。
ところで、ビタミンDは日光浴でも作られるし、当然食品の中にもあります。
健康的な生活も大切ですね。
何に対してもそうですが、賢くいきまよう。
「追加情報:」
先ほど書き忘れました。
ビタミンDは、着床不全・不育症だけでなく卵胞発育とも関係がありそうだということです。
ビタミンD摂取により、血中ビタミンD(25OH)が正常化した症例は、AMHが向上したという報告がされました。
ですから、ビタミンDは妊活を考え始めた時からプレコンセプションケアとして服用を開始されることをお勧めします。
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