今月の不妊治療カンファランスのテーマは子宮内膜の検査についてでした
今月も定例のアクトタワークリニック松浦院長とのカンファレンスが昨日ありました。
当院患者さんの状況についての情報交換は毎回行います。
不妊治療専門クリニックの生の意見・情報をいただけるのでとてもありがたいことです。
さて、今回は子宮内膜に関する検査の是非について相談させていただきました。
子宮内フローラという言葉を、妊活中の方は聞いたことがあると思います。
子宮内フローラが乱れ、子宮内の善玉菌が少なくなり雑菌が増えると、子宮内膜で免疫が活性化し、着床・妊娠の継続に影響があるとという考え方です。
1990年代からこれに関する報告が出されています。
子宮内フローラと原因菌に関する検査法も何種類も開発されました。
有名なところでは、トリオ検査の中のEMMA とALICE検査ですね。
さらに慢性子宮内膜炎に関するCD138の検査もよく耳にします。
科学が進んで不妊の原因と考えられるものがどんどん発見されてきました。
その進歩自体は素晴らしいことだと思います。
私は日頃感じている今回のテーマとしての疑問は、
「検査とその結果に振り回されていないか?」という事です。
妊活中の方はSNSをはじめ検索をされる機会が多いかと思います。
そこで目にした情報・・・例えば、着床できないのは子宮内フローラが乱れているからだ。という記事があったとします。
不安になりますよね。私も検査して調べなきゃ・・・と。
ここで、言葉のトリックに引っかかってしまっています。
冒頭の文章
「子宮内フローラが乱れ、子宮内の善玉菌が少なくなり雑菌が増えると、子宮内膜で免疫が活性化し、着床・妊娠の継続に影響があるという考えかた。」
と
「着床できないのは子宮内フローラが乱れているからだ。」の違いに気が付きましたか?
前文は、ある生殖専門クリニックのHPからの引用です。
後の文は、SNSで見かけそうな創作文です。
医師たちは、子宮内フローラの乱れは・・・何らかの影響があることは認めていますが、着床できないとは言っていません。
しかも、これらの検査に関する研究のエビデンス(証拠)は高くないようです。
以下は有名生殖専門クリニックの見解です。
①ERA(子宮内膜着床能検査:内膜の着床能が早いか遅いかを判定する検査)もEMMA(子宮内膜細菌検査)、ALICE(慢性子宮内膜炎検査)も、いずれもエビデンスレベルは高くありません。
②ビジネス的に企業が関係している面があるため話題になっています。
③そのクリニックでは現在、希望の方にのみ実施しています。
冷静で患者さん想いの先生だと思います。
アクトタワークリニックの松浦院長も全く同じ意見でした。
私からの提言:情報に振り回されないでください。不安なことは専門家に直接質問をしましょう。それでも勇気がなければ私が相談に乗ります。なんでも聞いてください。
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